日本における小児科医療の現状
日本の小児医療レベルは世界のトップクラスにあると言っても決して過言ではなく、あらゆる疾患に対し先端的で適切な医療が提供されています。しかしそれでもなお長期入院を余儀なく強いられ、一生自分の病気と向き合い続けねばならない患者が多くいることも事実です。
日本では以前から、『病院は、病気を治療する場所であり、つらい治療に耐えるのは当然』といった考えがあるため、医療サイドから入院中の楽しいことを提供するという発想はほとんどありません。短期の入院で元気になり退院できるのであれば、つらい治療にも耐えられるのかもしれませんが、治療が何か月、あるいは年単位の入院となり、楽しいこともあまりないとなると、治療に耐えきれなくなる患者も出てきます。 小児医療において、環境整備や精神面のサポートは治療コンプライアンス(治療の受け容れ)向上のために非常に重要であるとされています。
欧米の小児科病棟では、壁や机にカラフルで楽しい絵が描いてあったり、様々なイベントが院内で開催されたりと入院中のストレスを軽減し、楽しい日常を如何に維持するかという医療環境整備が治療と同様に重要視されています。 しかし残念ながら日本では小児の医療環境整備に対する関心はまだ低くは欧米に比べ遅れていると言わざるを得ません。我々はこれらの問題点を克服するために、キッズアートプロジェクトを立ち上げました。 さまざまなアートを通して入院中の子どもたちに楽しみを提供し、より良い医療環境を整備して治療コンプライアンスを向上させる。 この活動をとおして、病院が子どもたちにとって『居心地がよく、少しだけ楽しいところ』になるように変えていきたいと思っています。